Colmn
コラム
Category
クリーニングを続ける葛藤の先で、洗濯の価値にたどり着いた
なぜ、クリーニング屋が「森」を守るのか
結論:私たちはFSCを「選んだ」というより、「そうせざるを得なかった」
なぜ、勝川ランドリーはFSC認証材でコインランドリーを建てたのか
勝川ランドリーとは何者か
妻の家業を継いで見えた、業界構造への違和感
値引きセールという「常識」への違和感
数字が示す、もう一つの現実
「トキメキ」を取り戻すための代金
汚れを落としたその先にある、誰かの顔
なぜ、コインランドリーという形を選んだのか
森から始まり、海へ戻る循環
最高のスタッフと、誇れる仕事を次の世代へ
採用・取材・サービスに関するお問い合わせ
なぜ、勝川ランドリーはFSC認証材(適切に管理された森林から産出された木材)でコインランドリーを建てたのか
この質問を受けるたび、私たちは少し言葉を探します。
「選んだ」というより、
「そうせざるを得なかった」
という感覚に近いからです。
「洗濯業」という生業(なりわい)と真摯に向き合ったとき、
建物、洗剤、排水、そしてその先にある水の行き先まで、
目を背けることができませんでした。
環境に良さそうだから。
サステナブルという言葉が流行っているから。
もしそんな理由だったなら、もっと安価で効率的な選択肢はいくらでもあったはずです。
私たちが求めたのは「見栄え」ではなく、洗う仕事を続ける者としての筋の通った選択でした。
FSC認証材による建築は、私たちの覚悟が形になった、必然の結果だったのです。
勝川ランドリーとは何者か
創業70年以上、洗うことを生業としてきたクリーニング店
勝川ランドリーは、創業70年以上続くクリーニング店です。
地域の皆さまの衣類を預かり、汚れを落とし、プレスして整える。
それが私たちの日常であり、誇りでした。
洗濯は、どの家庭にもある日常的な行為です。
だからこそ、「深く考えなくても成立してしまう仕事」になりがちでもあります。
しかし、この仕事を続ける中で、
私たちは何度も立ち止まることになりました。

妻の家業を継いで見えた、業界構造への違和感
正直に言えば、私自身、
妻の家業であるこの店を継ぐまでは
「クリーニングなんて、どこに出しても同じだろう」
と思っていました。
店を選ぶ基準は、近いか、安いか。
それだけでした。
ところが、身内として現場に立って初めて気づきます。
お店ごとに、考え方も、技術も、品質も、まったく違うということ。
そして同時に、この業界が長年抱えてきた
「構造的な歪み」にも、
一人の“外から来た者”として強い違和感を覚えたのです。
値引きセールという「常識」への違和感
クリーニング業界には、長年続いてきた常識があります。
それは、最も忙しくなる春の繁忙期に、大幅な値引きセールを行うことです。
かつての勝川ランドリーも、それを当たり前だと思っていました。
しかし、受け継いだ大切な現場を守ろうとする中で、
私は次第にその慣習を疑うようになります。
忙しい時期ほど、一着一着に向き合う時間は短くなります。
それにもかかわらず、価格だけを下げてしまえば、
削られていくのは品質と、現場で働く人の余裕です。
このやり方のままでは、
お客様の大切な一着も、
ここで働く人の人生も、
守りきれない。
そう確信したからこそ、
勝川ランドリーは
値引きではなく「品質」と「信頼」で選ばれる道を選びました。
数字が示す、もう一つの現実
クリーニングの仕事は、
誰かの日常を支え、
思い出の詰まった一着を預かる尊い仕事です。
それにもかかわらず、
業界全体の現実は決して明るいものではありません。
厚生労働省の統計(※1)を見ると、
クリーニング業界の平均年収は
他業種と比較しても低い水準にあります。
全体平均 約269万円
この数字を知ったとき、私は強く思いました。
妻が大切に守ってきたこの場所を、
「環境を守る」と語る前に、
まず働く仲間たちの暮らしを、
そして自分たちの未来を守れる仕事に
変えなければならないと。
※1:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を元に算出
「トキメキ」を取り戻すための代金
以前、あるお客様がこんな言葉をかけてくださいました。
その服を買ったときのワクワクや、
トキメキを取り戻すためなんだと思うの」
その言葉は、今でも私たちの中に残っています。
私たちが扱っているのは、
単なる布製品ではありません。
その服を着て出かけた場所、
大切な誰かと過ごした時間、
そして
「さあ、今日も頑張ろう」と
袖を通した瞬間。
私たちは、お客様の
記憶と感情をメンテナンスしている
のだと、改めて教えられました。
だからこそ、
「安売り」という形で
その価値を貶めたくはありません。
一着に宿るトキメキを蘇らせるために、
最高の技術と時間を注ぐ。
そのための適正価格をいただくことが、
お客様への誠実さだと考えています。
汚れを落としたその先にある、誰かの顔
洗濯は「きれい」を生む仕事です。
しかし同時に、大量の水とエネルギー、
そして排水を生みます。
ある日、私はふと洗濯機の裏に回り、
排水ホースから流れていく水を眺めていました。
そのとき、胸を突くような感覚に襲われたのです。
「この水は、この先で誰が受け取るのだろう」
衣類から剥がされた汚れと、
それを落とすために使われた洗剤。
それらは下水へと消え、
見えなくなった瞬間に
責任も消えてしまうのでしょうか。
プロとして洗う仕事を続ける以上、
排水のその先にある
川や海まで、
目を背けてはいけない。
この問いが、
私たちのすべての原点となりました。

なぜ、コインランドリーという形を選んだのか
私たちは、
クリーニングという仕事を
否定したかったわけではありません。
むしろ、その技術を
今の時代にどう再定義できるかを
考えました。
コインランドリーは、
利用者が洗い方を選び、
洗剤を確認し、
衣類と向き合う場所です。
ここを、
単なる「家事の時短施設」ではなく、
自分の価値観やライフスタイルを
自ら選択する場所にできないか。
その答えとして生まれたのが、
建物そのものが思想を体現する
国内初(※2)のFSC認証コインランドリーでした。
森から始まり、海へ戻る循環
FSC認証材で建て、
洗剤の原料には
RSPO認証(持続可能なパーム油)を選ぶ。
建物も、洗剤も、排水も、
すべては一つの「森」から始まり、
海へとつながっています。
守るために、使う。
使うからこそ、責任を持つ。
それが、
妻から受け継いだ
「勝川ランドリー」という場所を
次の70年へ繋いでいくための、
私の「筋」の通し方です。

最高のスタッフと、誇れる仕事を次の世代へ
そして、ここから先は
私一人の話ではありません。
私たちがFSCで建て、
値引きをせず、
洗剤までつくる理由。
それはただ一つ、
当たり前の洗濯を
次の世代に
誇れる仕事として残すためです。
一着の服を蘇らせ、
お客様の日常に
トキメキを取り戻し、
地球の未来を
少しだけ良くする。
ただ機械を回すのではなく、
排水の先の海まで想像できる仲間とともに、
私たちはこの仕事を磨き続けたいと考えています。
洗濯は、もっと社会とつながれる。
洗濯は、もっと誇れる仕事になれる。
その可能性を、
私たちはこの場所から
証明し続けます。

採用・取材・サービスに関するお問い合わせ
勝川ランドリーの想いに 共感してくださる方、
新しい洗濯の形を 共に広めてくださる
メディア関係者の皆さま、
そして 大切な一着をお持ちのお客様。
私たちは、いつでもお待ちしております。

